選択制?マッチング拠出?今回は選択制について詳しく説明します。
企業型確定拠出年金の選択制とは、
給与を減額し、その減額分を任意積立部分(生涯設計手当)とし、従来通りに現金で受取るか、企業型DCに拠出するかを従業員が選択できるように設計した制度です。
では、選択制のメリット・デメリットを確認しましょう。
メリット : 加入するかしないかは本人の意志 。やりたくなければやらなくてもいい。
従業員本人が加入するかしないかを選択するため、強制的に掛金を拠出するわけではありません。
このため、企業が確定拠出年金を導入するに際し、従業員の理解が得られやすいという点があります。
全員拠出+選択制として設計する場合でも、選択制の掛金は任意のため、希望者のみが増額できる
ことになります。
メリット : 加入する場合、所得税・住民税を軽減できる
選択制DCの場合は、給与の一部を生涯設計手当として、給与とは全く別の枠組みになるため
DC掛金として拠出する金額は、給与とみなされません。
このため、拠出する金額の分が給与の支給額から引かれ、掛金は全額非課税で拠出することができます。
また拠出額によっては社会保険料の負担も軽減することができます。
ただし、社会保険料の負担が減ると、将来の老齢厚生年金の給付が減る可能性もあるため、少し注意が必要です。
メリット :ライフプランに合った資産形成ができる
金額を途中で変更することが出来ますし、逆に増やすことも出来ます。
ライフプランに合った資産形成が出来ると言えるでしょう。
デメリット:給与の支給水準が減り、手取り金額が小さくなる。
当然ながら、拠出した分手取りが少なくなりますので、今まで余裕をもって生活が出来ていたのに
なんか窮屈だなと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、運用にはこの先取り投資がとても重要なんです。この件を別の記事で書きたいと思います。
デメリット:選択制のみで一度拠出を開始すると、拠出額を0円に変更することができない。
事業主掛金額の変更については、年に1から2回変更機会を設ける場合が多く見受けられます。
少なくとも毎年1度は金額を変更できますが、一度拠出を始めてしまうと最低金額と言われている3,000円は拠出を継続する必要があるため(事業主掛金が3000円である場合は、自分の掛け金はゼロにすることができます)、その点がマッチング拠出とは異なります。
前述のとおり、選択制DCは給与の一部を「前払退職金」として再定義するため、給与の枠組みを変更する必要があります。給与について定めた規程の変更や給与システムの変更等、導入前に対応しておくべきことが多いため、様々な準備が必要です。
しかしながら、選択制DCは従業員への福利厚生の充実という観点からも導入企業が増えている制度設計です。加入者本人の拠出次第では社会保険料を削減できる可能性もあり、相対的に加入率は高くなる傾向です。そのため、労使双方にとって効果的な年金制度であると言えます。